第六章 二日目

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 真一は珠緒に笑いかける。真一自身、意識してそうした訳ではない。だが珠緒はその笑顔に油断した。 (これで家族になれる。ななみに幸せな環境を与えられるんだわ)  真一が伸ばした両手はななみだったモノを通り過ぎ、珠緒の襟首を掴んだ。  そして珠緒の頭を壁に叩きつけた。 「このッ!」  ガンッ! 「イカれたッ!」  ガンッ! 「くそ女がッ!」  ガンッ! 「くたばれッ!――このッ!――クソッタレがッ!」  真一は何度も何度も壁に叩き付けた。  壁はへこみ、蜘蛛の巣の様なヒビを走らせ、血が飛び散る。  真一がやっと珠緒を離すと、珠緒は壁に血のラインを引きながら崩れ落ちた。
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