第六章 二日目

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 真一は肩で息をしながら必死にロープをほどくと、ロープを脇に投げ捨てリビングに転がり出た。  真一が振り返ると珠緒はグッタリとしたままだった。  取り敢えず真一は携帯電話を探した。 (警察――警察をを呼ばなきゃ)  そんな事を考えながらリビングを一通り探しても、自分の携帯も、珠緒の携帯も見当たらない。  寝室を探すべきかと思い振り返ると、丁度珠緒が立ち上がろうとしているところだった。  それを見て、真一はその場で固まる。  珠緒はゆっくり立ち上がると辺りを見回す。  呆然と立ち尽くす真一を見つけ、珠緒は血塗れの顔を怒りに歪めた。 (やばい――逃げろ――逃げるんだよ――早く!)  真一の意識がどれだけ叫んでも、体は言うことを聞かない。  珠緒に恐怖し、ガクガクと震えるばかり。 (だめだ――逃げられない――こいつは化け物だ)  真一にそう思わせるに十分な光景だった。  珠緒は真一に向かって一歩踏み出すも、ガックリと膝をついた。  まだ頭がハッキリしないのだろう。  そんな珠緒の姿を、ダメージを見て、真一は我に返った。 (落ち着け――あいつも人間だ。まだ間に合う!)  真一はちゃぶ台を踏み越え、急いで玄関に走った。
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