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第一章 プロローグ
堂本真一はその夜も眠れなかった。
ソファーに座ったり、歩き回ったり。テレビを点けたり、消したり。
心の動揺がそのまま行動に表れている。
両親の葬儀も終わり、もうすぐ一か月。真一の心を乱しているのは両親の事ではない。
真一の心にあるのは虚無感や孤独感、罪悪感や後悔の念ではない。
真一は改めてソファーに座ると天井を見上げる。
何も考えないように、そして全て忘れようとしても、何度でもと浮かんでくる。
真一は首を振って必死で頭から追い出そうとする。
全ての始まりは二年前。だがこの物語の始まりはその日ではない。
やはり始まりと言えば半月ほど前の事だろう。
恐怖の始まりと言えば。
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