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しかし、あたしが生まれた頃から2歳くらいの頃までの話を父は何も語らなかった。
母のことを思い出すからと思っていた。
「そうじゃない」
あたしは、首を振りながら呟いた。
「もしかしたら、何かがこの時期にあったのかもしれない」
あたしは考える。
そして、この謎が根拠は無いが、父が居なくなってしまったことにも繋がるかもしれない。
写真をもっとよく見たかったので、アルバムから取り出してみる。
コスプレをしているようにも見える父の顔は、真剣な表情だった。
そういえば、出かける前もこんな表情をしていたと思う。
「あれっ、これはなんだろう?」
写真の裏にも文字のようなものが書かれていた。
「英語?でもないか」
日本語は、もちろんのことアルファベットにも見えない。
でも不思議なことに、見覚えはあった。
「えっ、どうして?あたし、この文字が読める?」
あたしは、少し怖かった。
「ゴクッ」
声に出して、読もうとしたのだが、どうしても躊躇して生唾を飲んでしまう。
この見慣れない言葉を発してしまえば、この世界の人間では無くなってしまうような、嫌な予感がしたからだ。
「馬鹿みたい。読めたからって消えちゃう訳ないじゃん」
少し自嘲気味に笑ってしまった。
ひと呼吸置いて、写真を眺めながら呟いた。
「ラウド_マカ_トム_ラウド‥」
「えっ何これ?」
突然、写真がとてつもない光で輝き出した。
まるで太陽のような、強烈な光に思わず目を背ける。
写真を持っている右手から光が体をドンドン侵食してくる。
首元から頭のてっぺんまで光に包み込まれた瞬間、あたしは体重が無くなった感覚になった。
そして、あたしの姿は父の書斎から消えていた。
第4話に続く
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