第3話:アルバムと写真と幼き記憶

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しかし、あたしが生まれた頃から2歳くらいの頃までの話を父は何も語らなかった。 母のことを思い出すからと思っていた。 「そうじゃない」 あたしは、首を振りながら呟いた。 「もしかしたら、何かがこの時期にあったのかもしれない」 あたしは考える。 そして、この謎が根拠は無いが、父が居なくなってしまったことにも繋がるかもしれない。 写真をもっとよく見たかったので、アルバムから取り出してみる。 コスプレをしているようにも見える父の顔は、真剣な表情だった。 そういえば、出かける前もこんな表情をしていたと思う。 「あれっ、これはなんだろう?」 写真の裏にも文字のようなものが書かれていた。 「英語?でもないか」 日本語は、もちろんのことアルファベットにも見えない。 でも不思議なことに、見覚えはあった。 「えっ、どうして?あたし、この文字が読める?」 あたしは、少し怖かった。 「ゴクッ」 声に出して、読もうとしたのだが、どうしても躊躇して生唾を飲んでしまう。 この見慣れない言葉を発してしまえば、この世界の人間では無くなってしまうような、嫌な予感がしたからだ。 「馬鹿みたい。読めたからって消えちゃう訳ないじゃん」 少し自嘲気味に笑ってしまった。 ひと呼吸置いて、写真を眺めながら呟いた。 「ラウド_マカ_トム_ラウド‥」 「えっ何これ?」 突然、写真がとてつもない光で輝き出した。 まるで太陽のような、強烈な光に思わず目を背ける。 写真を持っている右手から光が体をドンドン侵食してくる。 首元から頭のてっぺんまで光に包み込まれた瞬間、あたしは体重が無くなった感覚になった。 そして、あたしの姿は父の書斎から消えていた。 第4話に続く
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