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一方その頃‥
「ねぇフィリップさんって昔は日本に居たのですよね?その頃から悪い人だったのですか?」
あたしは、沈黙に耐えられず話を振ってみる。
「さあ、どうですかね。僕は日本に居たのはあなたぐらいの年齢の頃までですから。人生としては短いものでしたよ」
フィリップは珍しく質問に返答した。
「あたしぐらいの時に亡くなられたのですか?それは可哀想ですね」
あたしは少し同情した。
「別にくだらない人生だと思っていたので未練は無いです。平凡な生活には辟易してましたから。生まれ変わってこの能力を手に入れた時に気付きましたよ。人の未来を奪う楽しさにね」
フィリップは笑いながら話していた。
「そうですか、じゃあフィリップさんはその力を持つことが出来て幸せになったのですか?」
あたしがそう言うとフィリップはまた黙る。
「‥僕は幸せですよ。明日貴女を殺せますし、ジンさんも一緒に始末しますから」
しばらくして、フィリップはあたしの顔を見て宣言した。
「何度でも言いますけど、殺されません」
あたしははっきり言った。
「ふっ、そうですか」
フィリップは短く答えた。
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