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人里に着くまで体力が持ちそうか不安だったが、幸運なことに杞憂に終わった。
「良かった‥。やっと見つけたよー」
1時間ほど歩いたところで、数百メートル程先に2人が立ち話をしている様子が見えたのだ。
「とりあえず遭難は免れた。本当に助かった」
歩く速度が次第に早くなった。
近づくにつれて、目の前の2人の顔がはっきりと見えてきた。
「ありゃ、まさか‥」
あたしに不安が戻ってくる。
1人は金髪に青い目をしていて、もう1人はスキンヘッドだけど、青い目をしていてギリシャ神話の彫刻みたいな顔立ちだった。
この状況で考えられる可能性は2つ。
1.2人はハーフか外国人だけど、ココは日本である。
2.ココは海外である。
(お願い1番でありますように!)
心の中で懇願した。
(話しかけるの超怖いよ?。そもそも日本語通じなかったらどうしよう?英語で話すべきかしら?うーんもっと英語の勉強してれば良かった)
(勇気を出すのよ涼子!ええい!)
「ハロォ、キャンユウスピィクジャパニイズ?」
震える声で2人に話しかけてみた。
「‥‥‥‥」
1秒が永遠に感じられる程長かった。
金髪の男が答える
「ちょっと良く聞き取れなかったのですが、何か言いましたか?」
(キレイな日本語だ。良かった?助かったんだ)
全身の力が抜けてしまった。
しかし、数分後安心してしまったことを、後悔してしまうことをあたしは、知る由も無かった。
第5話へ続く
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