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「涼子くん。昨日貸してもらったお父さんの写真について調べて見たんだが、写真の場所が特定出来たよ」
食べながら、立花はしれっととんでもないことを言う。
「へっ‥」
あたしは、変な声が出た。
「まずは、写真の裏に書かれていた呪文だけど、図書館で調べたところ、これは【古代ラボン語】だった。ラボン地方には城は50箇所以上あるのだけど、この写真の城は城門付近の建築方法が特徴的で少なくとも、ここ150年の間に建てられたものなんだよ」
立花はコーヒーをもう一口飲んだ。
「それでも、10箇所以上城は残った。そこで私は13年前から15年前までの失踪事件について調べてみた。いやあ、失踪って結構起こっているものだねぇ」
立花はニヤリと笑いながら言った。
「先生、また余計なことをおっしゃっていますわ」
ニーナが、咎める。
「こりゃまた、失敬。そして私は1つの事件に注目した。ある城で起きた、煙のように消えた騎士とその家族の失踪事件にね」
立花の目には大きなクマが出来ていた。
きっとほとんど寝てないのだろう。
「それに、あたし達の家族が巻き込まれたと言うことですか?」
あたしは震える声で尋ねてみた。
「君は本当にカンが鋭いね。私はその可能性が高いと推理している。ラボン地方のグレス王国の城に行けば真相に近づけるかもしれない」
立花は自信満々の表情を浮かべる。
「仮に外れだとしても、行ってみる価値はあるだろうねぇ。涼子くん、着替えを買っておいたから、食べたら出かける準備をするんだよ。あと、ニーナくんは着替えの他にいつものアレも準備しておいてくれたまえ」
立花はコーヒーを一気に飲み干すしながら言った。
「わかりました」
あたしは短く返事をした。
「承知いたしましたわ。先生」
ニーナも了承した。
「出発は1時間後にしよう。遅れないように準備すること」
立花はそう言い残して席を立った。
「立花さんって、実は凄い人なんですか?」
あたしはニーナさんに尋ねた。
「もちろんですわ。少しお口が悪いところもありますが、先生の頭の中だけは誰にも負けませんわ。信頼くださいまし」
ニーナは自分のことのように、胸を張って自慢した。
「ふーん。なんとなく、ニーナさんがそう言ってるのを聞いたら安心してきました。あたし、着替えてきます。遅れたら立花さんに怒られちゃいそうですし」
あたしは本心からそう答えた。
「はい!ですわ」
ニーナは笑顔で返事をした。
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