第11話:ドラゴンと炎と黄金の暴風雨

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「ニーナくんは、特異体質なんだ。膨大な魔力が身体中を駆け巡っていてねぇ、それを身体能力の強化に使っているんだ。体が金色に光って、目にも止まらないスピードで敵を殲滅するその姿は、黄金の暴風雨(ゴールデンストーム)とかつて呼ばれていたんだよ」 立花が説明してくれる。 (あの変なアダ名はニーナさんだったのかあ) あたしは変なアダ名と思ったことを後悔した。 「先生、余計な話までしないで下さいまし。私、その通り名は嫌いですわ。もっと可愛いかったら良かったですのに」 ニーナは頬を膨らませる。 「ははっ失敬。まあ、彼女にかかれば大抵のモンスターは相手にならないかな。私たちを守りながらでもねぇ」 立花はニーナに全幅の信頼を置いてるみたいだった。 立花の言ったことは、本当だった。 次々と、襲ってくるモンスターをニーナはまるで花でも摘むように一蹴していったのだ。 「立花さんって、将来絶対に尻に敷かれますね」 あたしは小声で呟いた。 「おっ、あそこが宿場町だねぇ」 立花は聞こえないふりをして指をさした。 こうして衝撃の光景を目に焼き付けて、旅の1日目は幕を閉じた。 第12話に続く
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