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「そう来たか?ふーん」
立花は少し楽しそうだった。
側で見ていたスタンレー氏は心配そうな顔で、尋ねる。
「もしかしたら、無差別殺人なのでは?他の食べ物は、パーティーの参加者なら誰でも口にする可能性がありましたよ。誰が死んでも良かったんだ。犯人は私のホテルの評判を落とすためにこんなことをやったに違いない」
「かもしれませんなあ」
立花は聞いているのか、いないのか適当に返事をした。
あたしは、この非日常の連続に疲れたのか少しよろめいた。
「おっと大丈夫かい?涼子くん」
立花はあたしを支えてくれた。
「ありがとうございます。大丈夫です」
あたしは立花にお礼を言った。
「でも、少し疲れます。だってあたしがこの世界に飛ばされてから、色々ありすぎて‥」
あたしがそう言うと、立花は‥
「涼子くん‥飛ばされる‥転移魔法‥まさか‥」
立花はブツブツ言っている。
「たっ立花さん?」
あたしは立花の豹変に驚いていると‥
「エクセレント!お手柄だよ涼子くん」
立花はあたしの肩を突然抱いて叫び出した。
「へっ」
あたしは間の抜けた声が出た。
「はっはっは。君のおかげで事件が解決しそうだよ。ニーナくんちょっとこちらに‥」
自信満々の表情で立花はニーナを呼ぶ。
ニーナに、いくつか指示を出す。
「先生、承知しましたわ。と言いたいのですが本当に大丈夫ですの?」
ニーナは不安そうな声を上げる。
「私を【信頼】しなさい、犯人は【あの人】で間違いないからねぇ」
立花はいつものように髭を触りながら話していた。
「先生が、そこまでおっしゃるのでしたら承知いたしましたわ」
ニーナは意思を固めた表情をしていた。
「それでは、【あの人】のところへ行きますか」
立花はそう言うと、ゆっくりと歩いていった。
第16話に続く
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