第2話:出張と失踪と思考

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1週間前‥ 珍しく父はお酒を飲んでいて上機嫌だった。 「なあ涼子ぉ、ちょっとお父さん出張に行かなきゃならなくなってね。明日から2日か3日家を空けるから家のことをお願いな」 出張に行くことは、特別なことでは無かったので、特に違和感を感じなかったから、あたしも普通に返事をした。 「わかった。大丈夫よ、家の事ぐらい全部やっとくから」 そして当然こう続けた。 「どこに出張に行くの?」 大した質問では無かったのだけど、急に上機嫌だった父の顔は一瞬だけ真剣な表情になった。 しかし、すぐにニヤッと笑いながら、 「あれぇ、どこだったかな?ど忘れしてしまったよ。ハッハッハ」 酔っ払ってしまったのかと思ったのでそれ以上聞かなかった。 あのとき、もっと詳しく問い詰めなかったことを後悔することになるなんてあたしは、思ってなかった。 夜も遅くなって来たので、そのまま自分の部屋に戻って寝てしまった。
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