339人が本棚に入れています
本棚に追加
/278ページ
「よくわからないけど、よくわかるようになれる様に頑張ります」
あたしは真面目に答えたつもりだった。
「はっはっは、君は素直すぎて凄いねぇ。真面目に話してしまって、少し恥ずかしくなったじゃないか」
立花は大声で笑いだした。
「あたし、そんな変なこと言いましたか?」
あたしは、何で笑われたのかわからなかった。
「そんなことは無いよ。君が依頼人で良かったと思っただけさ」
立花がそう言ったとき、デッキの出入口から声が聞こえた。
「先生も涼子様もここにいらしていたのですね。もう、私も誘って欲しかったですわ」
ニーナが不満そうな顔で言った。
「すまないねぇ。少し内緒の話をしていたものでね」
立花は口に指を当てて、あたしの方を向いた。
「私だけ仲間外れはズルいですわ。涼子様教えてくださいまし」
ニーナがあたしの肩を揺すってきた。
「そんな、別に内緒の話なんてしてないですよ」
あたしは慌てて答えた。
「涼子様まで、意地悪されますの。酷いですわ」
ニーナは涙目で訴える。
「えっ、ニーナさん本当に違うんですよ」
あたしがニーナの誤解を解くまで5分くらい時間がかかった。
【信頼】の意味について、あたしが真剣に考えるようになるのはもう少し先のことになる。
第21話に続く
最初のコメントを投稿しよう!