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「先生ったら、つまらない意地を張るからですわ」
ニーナはそう言いつつ、席を立って薬を持ってデッキまで歩いて行った。
10分後‥
ニーナに背中を擦られながら、立花は戻ってきた。
「失敬、失敬、見苦しいところを見せてしまったね」
立花は元気そうだ。
「薬が効いて良かったですね」
あたしもホッとして話した。
「薬?涼子くん、私はそんなもの飲んでないよ。ははっ。名探偵が船酔いなんかするわけ無いだろ」
立花は往生際が悪かった。
「先生はもっと素直になるべきですわ。涼子様を見習ってくださいまし」
ニーナはため息をつきながら言った。
船旅はいたって順調で2日はすぐに過ぎていった。
時々、立花はニーナからこっそり薬を貰っていたがあたしは見ないフリをしていた。
そして、早朝にはラボン地方の海沿いの国、【サンポルト共和国】に着いた。
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