第21話:船酔いと泥棒と鎌鼬

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「キャー、泥棒よ。誰かー」 叫び声のした方向を向くと覆面の男が2人が、店の品物を持って猛スピードで逃げている。 「やれやれ、ニーナくん。悪いんだけど、流石に見逃せないしねぇ」 立花がニーナの肩を叩いた。 「承知いたしましたわ」 ニーナの体は金色に光り輝き、加速する。 「セイファー流‥追跡する鎌鼬(トレイサーソード)」 ニーナから突風が放たれ、それが覆面の男の1人にぶつかり、男は倒れる。 「もうひとりも‥」 ニーナがもう一度構えたその時‥ 「トレイサーソード!!」 ニーナの真向かいから、突風が吹きもうひとりの男も倒れる。 風でニーナの帽子とメガネも吹き飛ぶ。 「全く、こんなに朝早くから僕の管轄で泥棒など命知らずがまだ居るのか、どうせ他所者だろ」 泥棒を一蹴した男はため息をついた。 金髪で中性的な顔立ち、耳が少し尖っていたが、容姿端麗と言っていいだろう。 背は高く、肌は雪の様に白い。 「あれっこの人どこかで‥」 あたしがそう思った時、 「お兄様‥」 ニーナは震える声で呟いた。 第22話に続く
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