第22話:兄と老人と忍術

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「やれやれ、ペテン師とはずいぶんな言いようだねぇ。やあ、ご無沙汰だね。レオンくん」 立花はニーナの隣まで歩いて行った。 「黙れ、ペテン師にペテン師と言って何が悪い?それに、貴様にファーストネームを呼ばれる筋合いはない。ニーナをたぶらかしてどうする気だ?」 レオンと呼ばれた男は激昂した。 「ふぅ、これは失礼したねぇ。サンポルト騎士団、第二師団長レオン=ド=セイファー氏。これで良かったかな?」 立花は珍しく挑発的だ。 「ニーナを解放しろ、貴様のような奴が色々吹き込んだせいで、我々セイファー家の秩序が乱れたのだ」 レオンはそう言い放つと剣を構えた。 「お兄様、止めてくださいまし」 ニーナは立花を庇うように前に出る。 「そこを退くのだ、ニーナ。こんなことになるのならあの時、無理やりでも、お前を連れて帰れば良かった。すぐに謝罪に来るかと思えば、このような男と馴れ合うとは、言語道断」 レオンはすぐにでも斬りかかりそうだ。 「いいえ、退きません。お兄様こそ、先生に手を出そうとすれば許しませんわ」 ニーナも日傘を構えた。 「許さない?ふっ面白い冗談はその男に教わったのか?お前に剣術を教えたのは誰だったか忘れてはいまい」 レオンは、ニーナと同じように身体が金色に光っている。 「少し躾が必要だな」 レオンが飛び出したその時‥
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