第三章 『瞳に映るもの』

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その後、私たちは車窓からの景色を惜しむように再び窓の前に立つ。 緑が目に眩しく、景色が吸い込まれるように遠くに流れていく。 「……『七つの星』の旅も終盤ですねぇ」 「ええ、鹿児島の『仙巌園』で庭園の散策をして、あとは、博多へと戻るだけです」 「――はい」 この旅も、もうすぐ終わる。 「とても素晴らしい連休でした。帰ったら、『大丸京都店』のお仕事に励まなくてはなりません」 ホームズさんは、清々しいような顔で言う。 「がんばってくださいね」 「ありがとうございます。そうそう、『大丸京都店』で『謎解きラリー』を企画しているんですよ」 「『謎解きラリー』ですか?」 「ええ、各フロアに京都に関するクイズをという話で、ぜひ、葵さんにも参加していただきたいです」 「はい、ぜひ!」 とっても楽しそう、と私は目を細める。
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