第三章 『瞳に映るもの』

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「ホームズさんの修業も、もう少しで終わりますね」 「ええ、『大丸京都店』が九社目ですね。その次は、ついに『探偵』になってしまうことになりました」 私は、えっ? と驚いて、ホームズさんを見上げる。 「『小松探偵事務所』のお手伝いをすることになりまして」 「本当に探偵に……『京都祇園探偵のホームズ』になるんですね」 私は呆然とつぶやいた後、くすくすと笑う。 「ですが、これも期間限定ですよ。それで修業は終わりです」 ホームズさんは、記念すべき最後の修業先を『小松探偵事務所』に決めたようだ。 「お疲れ様です」 祇園で小松さんとともに探偵業をするホームズさんの姿を思い浮かべて、私は頬を緩ませる。 「『小松探偵事務所』で、米山さんに掛け軸を渡すのも良いかもしれませんね」 「はい。絶対良いと思います」 私は大きく頷きながら、ふと、あることを思い出した。 「そうだ、ホームズさんに聞きたかったんです」 私は表情を整えて、隣に立つホームズさんを見上げる。
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