9505人が本棚に入れています
本棚に追加
「あなたさえよろしければ、手伝ってもらえたらと思っています」
「はい、ぜひ。嬉しいです」
私は強く頷いた。
あの石造りの洋館が、小さな美術館兼カフェになる。
「お手伝いできるのが、楽しみで仕方ないです」
両手を合わせる私に、ホームズさんが少し愉しげに目を細める。
「おおきに、葵――」
ホームズさんの手が頬に触れて、彼の顔が近づく。
吸い込まれるように流れていく景色の中、優しく重ねられる唇。
そっと唇を離して、私たちは寄り添う。
瞳に映る、愛しい人。
それは、生涯決して忘れることのできない旅だった。
第三章『瞳に映るもの』
TheEND
最初のコメントを投稿しよう!