掌編 『宮下香織の決意』

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映画に行くのは、嘘じゃない。 けれど、真の目的は、その前に寺町三条の骨董品店『蔵』に寄ることだ。 ホームズさんが確実にいないことと、利休くんの手伝いが午後からになることは、確認が取れた。 つまり明日の午前中は、店長しかいない。 それならば、昼の部の上映が始まる前に、『蔵』に寄ろうと思っていた。 私も、明日で二十歳になる。 いくら年が離れていても、成人した大人同士になるんだ。 ――告白する権利くらいは、得たのかもしれない。 明日の誕生日、私は店長に想いを伝えよう。 私は、葵と楽しく語らいながら、密かにそんな決意を固めていた――。 掌編 『宮下香織の決意』 ~fin~
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