9322人が本棚に入れています
本棚に追加
/261ページ
映画に行くのは、嘘じゃない。
けれど、真の目的は、その前に寺町三条の骨董品店『蔵』に寄ることだ。
ホームズさんが確実にいないことと、利休くんの手伝いが午後からになることは、確認が取れた。
つまり明日の午前中は、店長しかいない。
それならば、昼の部の上映が始まる前に、『蔵』に寄ろうと思っていた。
私も、明日で二十歳になる。
いくら年が離れていても、成人した大人同士になるんだ。
――告白する権利くらいは、得たのかもしれない。
明日の誕生日、私は店長に想いを伝えよう。
私は、葵と楽しく語らいながら、密かにそんな決意を固めていた――。
掌編 『宮下香織の決意』
~fin~
最初のコメントを投稿しよう!