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「――葵とホームズさん、来月ほんまに旅行に行くの?」
京都府立大学内にある『稲盛記念館』一階に『delicafeたまご京都北山』という学食がある。
学食とは思えないお洒落な店だけれど、ありがたいことにとてもリーズナブルだ。
私と香織は時折、そこでランチを食べる。
丹波黒豆たまごのオムレツを食べながら、突然そんなことを聞いて来た香織に、私はごほっとむせて、口に手を当てた。
「……い、行くよ?」
語尾がなぜか疑問形になってしまいながら、私はそう答える。
頬が熱くなって仕方がない。
「結局、どこに行くことになったん?」
「それは、その日までのお楽しみということになって……」
私が頼んだメニューは、日替わりパスタだ。
賀茂茄子が入ったトマトソースが、とても美味しい。
気恥ずかしさに顔を上げられないまま、私はスプーンの上でフォークをくるくると回し、パスタがどんどん肥大化されていく。
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