プロローグ

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「なるべく早くに終えたいと思いまして、がんばっています」 「さすがだなぁ。それで、今はどこに?」 「今は、『大丸京都店』です」 「あのデパートの!? そこで何しているの?」 「『営業推進部』のプロジェクトでお手伝いをしています」 「へええ、なんだか向いてそうだね。また、うちにも来てもらいたいよ」 「そう言っていただけて、光栄です」 「『家頭誠司展』を通して、新たな人脈も得ることができたしね。そうそう、あの時、来てくれた米山先生も、短い間に業界では有名人になったよね」 『米山先生』とは、私たちもよく知っている米山涼介さんのことだ。 元は贋作師だったけれど、ホームズさんの祖父で国選鑑定人で骨董品店『蔵』のオーナーの家頭誠司さんに贋作を暴かれたことで改心した。 さらに彼は恋人ができたことから、『その女性に相応しい男になりたい』と、海外へ絵の修業に行き、そこで大きなコンテストの大賞を獲ったのだ。 その成功を足掛かりに、数々の賞を受賞し、今や国内外で名の知れた画家になっている。 ちなみに、そんな米山さんの恋人とは、私の親友・宮下香織の姉の佐織さんだ。
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