第一章 『京の三弘法と蓮月の想い』

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私はそっとホームズさんの許に歩み寄り、その胸に寄り添った。 「……私は、ホームズさんと一緒に旅行に行きたいです」 その結果がどうなっても、だ。 もし関係を進めることで、ホームズさんの中にある私を好きだという気持ちがなくなってしまうなら、その気持ちはニセモノなんだろうと思う。 そんな二人は、そもそも一緒にいない方がいいのだろう。 それは、とてもつらいことで、そんなことには決してなってほしくないけど。 私も、信じてみたい。 「――葵」 風が吹き、境内の花菖蒲がその体を揺らす。 ホームズさんが、私の体を強く抱き締め返した。 それは、『京の三弘法詣り』を終えて、いよいよ旅立つ前の出来事。 第一章 『京の三弘法と蓮月の想い』
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