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その光が収まると、その場には一人の少女がいた。彼女は言った。 「私はヤマダ・ハナコです」  私、山田美咲は、アンドロイド研究をしている研究者である。同じく研究をしている夫の彼方との間に実子はいないが、娘がいる。人工知能AIを搭載した山田華子だ。  華子は5歳児ほどの見た目をしていて、まるでトイレの花子さんみたいな容姿をしている。それを、彼方がおもしろがり、また日本人にとって馴染み深い、山田太郎、山田花子の名前のように、末長く愛されるようにとつけたのが、華子という名前である。  私たちは一度、子供を死産している。もう二度とあんな思いをしたくなくて、けれど子供が欲しかった時、アンドロイド育成プロジェクトの話が話題に上った。  それは、人工知能を搭載したロボットを、人の子供のように育てるというもので、夫婦での参加が義務付けられていた。私たちは、そこに応募し、研究者の肩書きもあって、見事当選した。華子は、実験個体No.1なのである。  人工知能AIは、初めは5歳児の姿をしており、知能の成長段階に応じて、10歳、15歳、20歳へとフォルムを取り替え変化させる予定だ。
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