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「そうして15歳ボディとなった私は、その後も研究者たちの間を転々とし、長い年月をかけて今の人格が形成されました」 「私の来た時代、あなたたちにとっての近未来は、アンドロイド技術は飛躍的に進みましたが、酷い少子高齢化となっています。人類は絶滅の危機を迎えているのです」 「それで、私たちが何の力になれるっていうんだ?」 彼方が驚愕しながらも華子に聞き返した。嘘みたいな話だが、彼女の登場の仕方はおかしかったので、ひとまず話を聞かなくては。 「はい。お父さん、お母さん。いえ、山田彼方博士、美咲博士、あなたたちにお願いがあります。この時代の日本には、病院に匿名で出自不明の赤ちゃんを預かるシステムがありましたよね?」 「ええ」 そう、今の時代も少子高齢化は深刻な悩みで、少しでも赤ちゃんの命を守るために、ある病院にはじまった出自不明の赤ちゃんを預かるシステムは、全国に広がっている。 「私たちは、ある国家プロジェクトに参加しています。その目的は人類を滅亡から救うこと。今はドナーカードのように、自分たちの産んだ子供を、自分たちで育てるか、タイムマシンで過去に送るかを選べるようになっているのです」
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