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目が覚める
部屋の中になにかいる。
そんな気配がしてあたしは目がさめた。
枕元の目覚ましをみると真夜中の1時過ぎ。
夜はまっくらじゃないと寝られないので電気は消しているけれども、窓からの月明かりで部屋の中はわりと明るい。起き上がって電気をつけなくっても部屋の中は見渡せる。
誰もいない。
けど、なにかいる。
なにかいるという気配は消えない。
そのときあたしにはわかった。
これはおじさんの言っていたあれだ。
――いいかい、この世には人が触れてはいけない世界があるんだよ。
――普段はお互いに関わり合うことはないけれども、稀にあっちがこっちに触れてくることがあるんだ。
――そのときに気配がする。その気配が感じたときにはおじさんに言ってくれ。
おじさんはママの弟で、うちに居候をしている。隣の部屋で寝ているはずだ。
あたしは足音を立てないようにゆっくりと部屋を出て、おじさんの部屋をノックした。
「どうぞ」
中から返事がした。まだ起きていたようだ。
「おじさん、あたしの部屋に何かいるの」
あたしが何を言っているのかすぐにわかってくれたみたいだった。
「気配がするのかい」
「うん」
「わかった、おじさんが調べてあげる」
あたしはおじさんと一緒に自分の部屋にもどった。
「大丈夫だ。ここから見える場所にはいない。あれはあそこの押入れの上の天袋にいる」
おじさんはあたしの部屋の押し入れの上の天袋を指さした。
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