目が覚める

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「どうしたらいいの」 「あれを退治することはできない。けれどもこの場所にいることを無効化することはできる」 「それってあたしにもできるの」 「ああ、できるよ。じつはある言葉をあれに向かって言えばいいだけなんだ」 「あたしにそれをやらせて」 怖かったけれども、あたしはおじさんにお願いをした。 おじさんは来週からしばらく出張でいなくなってしまう。 おじさんがいないあいだに同じことが起こったら、あたしががんばらないといけない。 あれが、ママのせいだということはあたしも知っている。だからおじさんはあたしたちと一緒に暮らしている。 おじさんがいない間、ママを守るのはあたしだ。 「わかった。そんなにむずかしいことじゃない。それに怖いことでもない。おちついてやれば大丈夫だ」 「うん」 おじさんはその言葉をあたしに教えてくれる。 あたしは頭の中でその言葉をくりかえしくりかえし言う。 ――うん、大丈夫だ。言える。 天袋ではあたしの背は届かないので椅子を押入れの前までもってくる。おじさんが椅子を支えてくれる。 「おじさんがそばにいるからだいじょうぶだ」 あたしはゆっくりと天袋の戸を開ける。 なかになにか見えた。見ちゃいけないと思うけれども見てしまう。はやく言葉を言わなければ。 「……ん、んんん」 「……ん」 「んーーー」 教えてもらった言葉を言おうとするのだけれどもその言葉が口からでない。 ――おじさん、助けて。 でも助けてという言葉も言うことができない。 「んーーー」
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