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Y子さんに言われてナースステーションに戻った私は、そこで驚くべき事実を知った。
なんと、E口さんはすでに亡くなっているのだというのだ。
私が夜勤に入る、わずか1時間前のことだったらしい。
「ごめんね。新規の入院でバタついてしまって、申し送り漏れしてたみたいで……本当にごめんなさい」
私のミスだわ。と、Y子さんがとても申し訳なさそうに謝罪してくれたけれど、正直、それどころではなかった。
私のポケットには、彼から頂いたハンカチが、しっかりと入っているのだ。
「え……。でもY子さん……さっきE口さんの部屋に……」
「やぁね。あれは、507号室のT中さんよ。背中が痒いだの、足が痛いだので、ずーっとマッサージさせられちゃって参ったわ」
「え……」
ーーだから、あの部屋は空っぽだったのか……。
変に納得するのと同時に、身体中に鳥肌が立った。
ーーじゃあ、私を呼んだE口さんは…………?
あのナースコールは一体……?
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