霊安室、それから……

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「……これ……」 『ポケットの中に……ーー』 と、さもその中に何かを入れたように、E口さんは言っていた。 ーーまさか、本当だったなんて……。 床に落ちたしわくちゃの茶封筒を手に取る。 「……あ」 茶封筒の背面に貼り付いていたのか、二枚の写真が E口さんの胸元に落ちた。 「……うそ……」 「どうかしましたか? 」 思わず顔を覆いながら後ずさる私の肩を、室長さんが支えてくれた。 「嘘でしょ……?……すいません……わたし……ちょっと!」 写真を鷲掴みにした私は、一目散にロッカールームへ走った。 電話を、今すぐ母に電話をしなければならない。 そんな思いが、夜勤明けでヘトヘトな身体を、一気に5階まで走らせた。
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