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夜明けのばん
小学校に不似合いな四畳程の和室。
真夜中だと言うのに電気も付けずに、蝋燭の明かりだけがボゥと照る。部屋には三人しか居ない筈なのに妙に息苦しい。
この狭い部屋に他の友達が来ているのではないかと思うと背中に寒気が走る。暗くて見えない自分の身体に鳥肌が立つのが分かる。
そんな時、蝋燭の明かりがフッと消えた。
怖くないのか、何かが待ち遠しくて、弾むような声色が聞こえる。
「さ、電気付けようぜ」
このイベントを企画したタダオが耳を塞ぐ僕の肩にぶつかりそうになる。
暗い部屋なので仕方がない、直ぐに部屋は明かりを取り戻し、改めて狭い部屋を映し出した。
「やっぱり来なかったじゃないの」
クラスメイトのユミはタダオに文句を言っている。
ユミはタダオや僕と仲の良い女子生徒である。いつもはフリルの付いたアイドルみたいなスカートを履いているユミもタダオと同じで黒いスーツの様な服を着ている。親戚の結婚式に行くみたいな、七五三に行くみたいな服装の二人と、黄色いチェックの服を着た僕。不思議な組み合わせだ。
こんな夜遅い時間に学校に来たのには理由がある。
僕達の通う学校には七不思議があるのだ。
七つあるから、七不思議。
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