あたし、ねこ

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 すると、しばらくじっと考え込んだ本間はにこりと笑いかけた。 「ふわふわと、温かい気持ちになる、かな」 「ご神託かよ・・・」  外野はあきれかえる。 「そんなもんが基準なのか、本間・・・」 「そういや、この間そんなこと言ってたっけ・・・」 大丈夫。 きっと、手をつないでいるだけでも幸せな気分になっちゃうような人に出会えるから。  佐古は思わずほほえむ。 「俺も、なっちゃんの手を握ると、暖かくなるかな!」 「・・・猫でも同じだと思うぞ・・・」  またもや話が脱線していく中、篠原は、気を取り直してもう一度本間の手を握った。 「わかりました、奈津美さん。ここはいったん私が引きます」 「はい。そうしてくれると助かります」  その一言に本間がほっと肩から力を抜いたところで、篠原は端正な顔を近づけて囁いた。 「でも、奈津美さん」 「はい?」 「スペシャルご飯も、毎日食べ続ければ、いつものご飯です」 「は?」  篠原は、最後の最後まで真剣だった。  あっけにとられている間に顔を寄せられ、うっかり唇を盗まれた。 「なに図にのってんの、アンタ!!」  素早く、本間の渾身の一撃が篠原の腹にクリーンヒットした。  それをまともに受けたにもかかわらず、篠原はどこか幸せそうな顔をしている。 「毎日続けりゃ、いつものご飯か・・・」  いつまでも続く攻防に、いささかうんざりしてきた片桐がすっかり冷めたコーヒーに口をつけた。 「・・・身体に悪そうだよな・・・」  ぼそっとした岡本の呟きがパソコン画面に落ちる。 「仕事しよ、仕事」
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