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そこには『乙女小説・ラブハニー』の文字があるポップな画面。
華林は画像をスクロールさせた。
「あっ、更新されてる!」
大好きな小説が更新されていて、ウキウキと画面を開く。
内容は会社の社長と受け付けをしている主人公が、お互い気になっていて、とある事をきっかけに社内で内緒のオフィスラブを繰り広げるというもの。
乙女の夢を盛り沢山詰め込んだ内容なのだが、これはもしかして自分の事では?と、同調してしまったのだ。
こう思ってからは、小説が現実に起こるのではないかと毎日ドキドキワクワクして過ごすようになった。
けれど、勤めはじめて数ヵ月経つが一向にドキドキ秘密のオフィスラブな展開は訪れそうになかった。
華林はいつも受け付けと社員食堂とロッカールームの往復のみ。
一方の九条は、部下を従えてフロアを颯爽と横切っては最上階の社長室へと直行してしまう。
帰りに顔を見かける事もあるが、いつの間にか裏口から帰宅しているという日もある。
そんなワケで、新入社員以外の結婚希望の女性陣は一年もすると諦めて、新たな恋を求めるのだった。
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