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自動ドアが開いて入ってきたのは、この場に相応しくない人物だった。
「あの子…どこかで…」
華林は彼が目の前まで来てその顔をしっかり見ると、ある日の記憶がフラッシュバックした。
ソワソワ何処か照れた表情でやって来た少年は、見間違う筈もなく。
あの頃より少し印象が違う。
美少年では無いのだが、大人に向かって成長するどこか危うい何かがあった。
愛された人間が、隠しきれない蜜を溢している。
淫靡な物を感じて、思わずドキッとした。
「あの…すみません、」
「はい。九条社長ですね?」
少年が何か言う前に、華林はニッコリと優しい笑顔で応対する。
少年の九条に愛されて綺麗になっていく姿が羨ましくありながら、何故か嬉しい気持ちにもなる華林だった。
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