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「あなたは――寂しかったんじゃないの?」
誰からも自分を見てもらえず、通り魔にやられたという目を、口を、散々言われたのだから。不遇だっただけなのに、それが原因で友達にも見放されたのだから。
そう答えると、彼は裂けた口を歪ませ、笑った。
「っ、ざぁんねぇん!オレは別に寂しくなんか「嘘よ」……なぁ、口挟まんといてくれん?」
私は彼の言葉を遮り、言葉を重ねる。
「だって今あなた、ほんの一瞬だけ、迷ったじゃない。私は見逃さなかった。あなたの目が泳いで、揺れたのを」
それは、今から殺される人間なら見逃してしまう、よく見れば分かる顔の変化だった。
「自分に嘘をつかないで。あなたは、友達や周りの人間が離れていくのが寂しかっただけなの」
確証はないし、あなたが違うと言い切るなら私の考えが間違ってるんだけどね。
そう言うと彼は、先より目があちこちへ泳いだ。
「いや、そうやない。オレは寂しくなんかなかった、絶対違う」
彼はそう言い切った。
まだ目に迷いが見え隠れ……はしていない。こちらから丸見えだぞ。
でも、彼は違うと言い切った。
私が間違っていたんだ。
「……そっか、なら私を殺していいよ」
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