何が起こるにも唐突である

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「キャベツ畑しかないところで何を眺めるんだ、虫も寄り付かないから見てもつまらんぞ」 「いや、ハイキングというのはもののたとえだ。ここでもいいんだ、作りすぎたから食え」  さて、ここで追い出すわけにもいかなくなった。バスケットの中身は木苺やぶどう、胡桃のスコーンだった。おそらくオリヴィエの妻が作ったものだろう。人の作ったものは不思議と美味く感じるものだというのがオルランドの持論だが、彼女が作ったものは特に美味い。たまにしか食べられない彼女の料理で、さらにスコーンはめったに食べられるものではない。 「……この前貰った蜂蜜があったな。使いどころに困っていたんだ」 「そうか!」 「そういうわけだ、お使いに行ってくれ。準備しておく。つまみ食いなどせんから、安心しろ」  オリヴィエがお使いから帰ってきた後、昼食を広げた。茶を飲み、閑談に時を費やし、オリヴィエは日が傾くまでオルランドの家にいた。 「しまった、俺は帰るぞ」 「暗い道に気をつけろよ、奥さんに礼を言っといてくれ」 「ああ、じゃあな」  オルランドは片付けをしながら、予定していた読書をちっとも進められていないことに気がついた。ただぼんやりと腹が立ったが、矛先を向ける相手の無い鈍い怒りは、ひとたび眠るとすっと胸のうちに消えていった。
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