何が起こるにも唐突である

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「よう、久しぶりだな、オルランド」  次の日、オリヴィエが街からやってきた。久々に本を読もうと茶を淹れていたところだった。 「今日は休みを貰ったのか。……何しに来た」 「用は特に無いが……本?」 「ああ」  ものめずらしげにオリヴィエは背表紙をなぞった。 「日記みたいだな。お前のか?」 「は?」  止めようとしたときにはもう遅かった。オリヴィエは本をもう開いてしまっていた。 「中もかなり日焼けしているようだな。読めんな」 「……そうか。知らん本だ」 「ふむ」  ひとまず安心して、オルランドは彼に茶を出し、本を開いた。なるほど、彼の言うとおり文字は日焼けしており、すっかり薄くなっている。 。ペンと紙が必要だ。日焼けがこれ以上ひどくなる前に、写しておかなくては。 「本当に何をしに来たんだ」 「何も。ちょっと友達に会いに来ただけさ」 「丁度いい、下の町に紙を買いに行ってくれ。暇なんだろう」 「たまの休みだぞ、休ませてくれよ」 「それならこんなところに来るもんじゃない。山だぞ」 「ハイキングみたいなものさ。昼ごはんは外で食べてくるといってきたんだ」  オリヴィエはバスケットを机の上に置いた。
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