0人が本棚に入れています
本棚に追加
「よう、久しぶりだな、オルランド」
次の日、オリヴィエが街からやってきた。久々に本を読もうと茶を淹れていたところだった。
「今日は休みを貰ったのか。……何しに来た」
「用は特に無いが……本?」
「ああ」
ものめずらしげにオリヴィエは背表紙をなぞった。
「日記みたいだな。お前のか?」
「は?」
止めようとしたときにはもう遅かった。オリヴィエは本をもう開いてしまっていた。
「中もかなり日焼けしているようだな。読めんな」
「……そうか。知らん本だ」
「ふむ」
ひとまず安心して、オルランドは彼に茶を出し、本を開いた。なるほど、彼の言うとおり文字は日焼けしており、すっかり薄くなっている。
。ペンと紙が必要だ。日焼けがこれ以上ひどくなる前に、写しておかなくては。
「本当に何をしに来たんだ」
「何も。ちょっと友達に会いに来ただけさ」
「丁度いい、下の町に紙を買いに行ってくれ。暇なんだろう」
「たまの休みだぞ、休ませてくれよ」
「それならこんなところに来るもんじゃない。山だぞ」
「ハイキングみたいなものさ。昼ごはんは外で食べてくるといってきたんだ」
オリヴィエはバスケットを机の上に置いた。
最初のコメントを投稿しよう!