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憂鬱な朝の始まり。 お気に入りのワンピ姿で、鏡の前に立つ。 これ、すごくお気に入りなんだけど気合入れてきたと思われるのもなんか嫌だなぁ。 そう思いつつも、鏡の中の自分は、これを着たがっているようで、ファスナーを下げて脱ぐ気はなかった。 ーどうせ、また同じことなんだし、お気に入りの洋服くらい来てもバチ当たらないよねー よく温めたコテで髪の毛をまいていく。 出勤の時と同じ作業なのに、なぜだかいつもと違った。携帯のバイブが騒ぐ。 「あ、楓?ヨッシーもくるって!じゃ、今日はよろしくね!」 一方的な内容で電話は切れた。ヨッシーこと、吉田あきえは、高校からの同級生。男子からの評価は高い。勉強はできるし、スポーツにしたって男子を負かすことだってある。高い位置で結ばれたポニーが似合う女の子。要するに、美少女なのである。右のエクボがチャームポイント。 楓が合コンに行く理由。それは、オトコが目当てではない。大学時代の自分に戻れるからだった。楓は、合コン後の女子会で、愚痴をいいまくる凪やヨッシーを見ているのが、好きだった。 大学時代、凪とは、サークルで知り合った。高校の同級生であるヨッシーも同じ大学に進学し、三人でつるむようになった。相変わらず2人は男と別れては付き合うの繰り返しで、元カレやほかの男の悪口のオンパレードだった。一方、楓は真反対で、一人の男性を片思いしていた。 今の楓は、合コンに参加しているが、以前はもっと引っ込み思案で暗かった。 ヨッシーは、高校の時から色々誘ってくれていた。逆ナン、日サロ、ネイル、カラオケ、学祭、、、。なぜだか断っても誘ってくる。 ーわたしが楓だったら、もうちょいなんとか人生を楽しもうもするけどな。ーよく言われてた。 ー人生損してるよー ーなんか、もったいないよねー 聞き飽きていた。 そんな中、大学で凪との出会いが引っ込み思案の性格を変えさせた。 「ねえ、楓。うちにこない?いいものがあるの。」 しばらく女の子の友達の家に行ってなかったために緊張したのをおぼえている。かと言って男子の家には、もちろん行ったことなんて無いけど。
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