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気合いを入れてワンピースを着てきた割に、ほかの女子メンバーにうずもれる形になった。 内心ちょっとほっとしつつも、脇の下に汗を感じる。 「楓、なんか痩せた?」 「え、そうかな?凪もやせたんじゃない?」 「いーよいーよ、そういうお世辞(笑)」 「あれ、今日4人て聞いてたけど、、、」 女子メンバーの中に初めて見る人がいた。 「急遽、美人枠で紗英ちゃんに来てもらうことになったんだよね。あ、あたしの会社の後輩ちゃん」 こういう、急遽変更に着いてけないあたしは仮面の笑顔で乗り切る。仮面の下はすごく不安でいっぱいだった。あたし、凪、ヨッシー、えみり、紗英ちゃんの4人でスタート。 お相手は製菓会社に勤める20代後半男性陣。一見20代ですか、本当に?と疑いたくなる人もいる。まぁ、幕開けはそんな所。 よく見知ったお菓子をもらい、 「これ、ほんとに好きなんですぅ」と媚びた返事で愛想を振りまく美人枠に「いやいや、こんな可愛い子に言われたら、照れちゃうよ、なぁ?」とお決まりの返事。 あたし、来る意味あったのかなぁなんて考えてると、グラスの口元で炭酸がプチッと弾けた。 気づいたら咄嗟に手を挙げて「ハイボール下さい〜」と叫んでいた。その手を凪が下げる。「ほんとに飲みすぎだから、ほんとに。ちょっと、席外れまぁす」トイレに連行されるあたし。 「ちょっと、何があったかわかんないけど飲み過ぎだからね」 「だって、あんな可愛い子いたらあたし来る意味なかったって思うよ、本当に。別に悪くいうつもりないけどさ、ぁ」 不思議だった。頬を伝って暖かい物がポタっと落ちた。こんなふうに泣くなんて敗北者だと思ったし、みっともなかった。 「今日はうち来て、語ろ、話聞くから」綺麗に決めてきたポニーテールをクシャッとつかんでわさわさされていた。あたしは抵抗する力もなく、涙で伸びたマスカラを必死に指で拭った。 合コンお決まりのLINE交換のあと、あたしは凪とタクシーに乗っていた。
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