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長めの髪を丁寧にワンカールして、マフラーにくるませる。 ー恵比寿で待ち合わせしようかー やり取りを見返す。ほんとうに私は【都合のいい女】なのかもしれない。世の中こんな女だって沢山いる。中にはお声すらかからない女だっているんだし、私はまだマシ。大丈夫、大丈夫、、、、。 「楓ちゃん…?なんで泣いてんの?」 大きな手がマフラーを包み私を包み込んでいく。呼吸が乱れた。なんで泣いているのかわからないし、いきなり先輩が現れてどうしたらいいか分からない。 「よかったら」そう言って、缶のココアを手渡す。 少しかがんで下から覗いた先輩の顔は、少しほっぺが赤くて何だか酔ったような表情だった。 「少し歩こうか」整えた髪の毛が少し乱された。 「昨日、ヨッシーと凪に会ったんです」 「あー、あの二人か。懐かしいなぁ」 「言われたんです。もう先輩に会うのやめなよ、って。」 こんなこと言う予定じゃなかった。予定外状況を自分で作りだしてしまった。半ば狂乱になりかけていた。自分のマフラーで首を絞めようとしていた。 「ちょっと、やめなさい、死んじゃうよ」 「いいんです。あたしなんか、あたしなんか、、」 視界がぼやけてくる。また温かいものが頬を伝う。途端に目の前が真っ暗になった。先輩の手が私の腰を捉えて抱き寄せた。 「大丈夫だから、、、」 髪を整えるように優しい仕草で撫でられると、もうどうでもいいやという気持ちになってしまう。 ガーデンプレイスの石段に乗っけられ見下ろす姿勢になった。 「俺さ、そんなに大切にしてなかったかな?」 上目遣いでそんなこと言われたら、何も言えないよ。
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