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真夜中でもいい、会いに来て。
その電話が掛かってきたのは、私が深い眠りに入っていた頃、まさに真夜中のことだった。
その日の私は、残業で午後10時を過ぎた頃に帰宅し、食事やシャワーなどを済ませ、日付が変わる頃にはベッドに倒れ込んだ。その私が深い眠りに入っていた頃なのだから、午前2時、もしくは3時頃だったかもしれない。とにかく、真夜中にその電話が掛かってきたのだ。
電話の内容は、酷く事務的かつ端的だった。
――――お宅のご主人が、交通事故でお亡くなりになりました。
警察官を名乗る人物は、私にそう告げた。
まだ頭が半分くらい眠っていた私も、その一言で背筋辺りがサーっと冷えていく感覚を覚え、一気に目が覚めた。
私は警察官の言葉の意味はすぐに理解した。
けれど、飲み込めなかった。
なぜ、夫が、なぜ――――そんなことばかりが頭を巡っていた。
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