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日本で5本の指に入る大会社、雪村ホールディングスの社長を代々継いでいる雪村家と、“番犬”の名で知られる執事の名門、杠家は長い間主従関係を築いてきた。
雪村家のすごいところは、他の大会社の社長や金持ちの連中みたいに、杠家の“番犬”という異名を権力誇示や自分達を飾り立てる宝石のように扱わず、自分の愛する者を守るためだけに杠家の力を望んだこと。
この話は代々両家に受け継がれていて、雪村家は俺達を主従という線引きはあるものの、純粋に力を評価して傍に置いてくれるし、杠家も雪村家とその愛する者のために惜しみなく力を発揮してきた。
だからこそ俺・・・杠遥輝も、雪村家の次期社長である雪村薺に忠誠を誓ったのだ。
幼き日、様々な陰謀が取り巻く中で、感情を吐き出すことができず全てを自分の中に閉じ込めていた薺の心を、笑顔を守ると。
だけど今、その忠誠が崩れそうになっていた。
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