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「~♪♪♪……」
「あ!その歌知ってる。CMソングで気になってアルバム借りたらどハマりしたの」
「俺も。今一番お気に入りのアーティストなんだよね」
離れている間も、別々の道を歩みながら同じものを同じように好きだと思えていた。
それだけで…空っぽになっていた何かが一気に溢れ出しそうになる。
「あのさ、コンビニ寄っていい?」
「うん。私も飲み物買いたいし」
「じゃあ…そこのコンビニ行こっか」
葉月くんが指差す場所を視線で辿ると、そこには夏祭りの帰りに二人で行ったコンビニがある。
一瞬で巻き戻った記憶。
あの時、葉月くんともう少し一緒にいたかった私は 花火という魔法で綺麗な思い出を作ろうとしていた。
けれど、それは間違いだったのかもしれない。
「花火…したいな」
「え?」
だってあれから7年経った今でも…
私は未だにあの夏を引き摺ったままだ。
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