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コンビニの袋を提げて立ち寄った夜の公園は、またあの日と同じ場所だった。
買ったばかりの花火を手に、祈ることはただ一つ。
___この瞬間が永遠に続けばいい。
パチパチと光る花火が葉月くんの顔を微かに照らしてくれるたび、
終わらないで。終わらせないで。
そう心の中で何度も何度も唱えていた。
花火をしている間、私達の間に会話はなかった。
ただ、火花が散る音と、
ジャリ…と靴で砂を踏む音だけが響いていた。
「…はい。最後の一本」
「ありがとう…」
葉月くんが最後の一本と差し出したのは線香花火。
受け取ったそれに火をつけて赤橙が灯ると、胸が潰れそうなほど苦しくなった。
パチパチ、パチパチ。
静かに揺れる赤橙色は今にも落ちてしまいそうで…
落ちる前に伝えなきゃって、そう思った。
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