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「まあいいや。一緒に帰ろうよ、佐々木くん」 「かまわないよ」 私は普段女子の友達としか帰らない道を、佐々木くんと並んでたどる。 「なんか不思議だね。昨日まで、佐々木くんとこの道を歩くのは想像できなかったのに」 「僕にとっても想定外だ。いや、この言い方はよくないな。想定するということは可能性を否定して、目を曇らせることだ」 「難しいよ。佐々木くん」 彼はコンビニの前で足を止めた。 「先に言っておく、僕は日頃、放課後、買い食いはしない主義だ」 「うん?」 「ちょっと待ってて。見せたいものがある」 「君は、教室で自分を“ごく普通の一般的な人間”と言ったよね?」 「“普通”という言葉に疑問を持つとどうなるか、証明してあげよう」 彼はあっという間にコンビニに駆け込むと一袋のポテトチップスを買って来た。 あ、これ好き。老舗の、味がバラエティに富んでる方じゃなくて、オーソドックスで軽い方。 「これがどうしたの?佐々木くん」 「佐々木ちゃん、この種類のポテトチップは好きかい?」 「うん。好きだよ」 「じゃあ想像して。君の中にポテトチップスの最も“普通”な一枚を」 「したよ」 私は、頭にポテチのイメージを浮かべる。黄色くて、薄くて、丸くて、適度にそり返っているやつ。     
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