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きみを見つけた
カフェのガラス越しに、きみを見つけた。
初夏の日差しの落ちるテラスで、本とノートを広げたテーブルに屈みこんでいる。氷の溶けたアイスコーヒーの周りには水が溜まっていて、今にもノートを濡らしそうだ。
ここからは、きみの少し伸びた髪と、うつむいた鼻筋しか見えない。
わたしが店の中から見ていることに、気づきもせずに。
ガラスに映る自分の前髪を直したりとか。
道行く人を眺めたりとか。
そんなこともしないで。
ただ一心にノートを見つめているきみが、やっぱり好きだと思う。
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