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ぶすりとした表情で見返せば、不敵な顔で右手を差し出してくる。
「くれ」
ぱしーん、と奴の手をひっぱたく。
「ってー!」
痛いのは私の手だっつうの。
しかもそんなに強く叩いてないし。
これがイケメンならまだしも、よくて中の中。だから私が女の子に目の敵にされることもないし、無駄な手加減はしない。昔はベビーフェイスで可愛い可愛いと言われてきたのに、この有様だ。でかくなった身長はまあいい。私を見下ろすのはしゃくだけど。でも、こいつのちょっと悪ぶった髪型と態度が最強に似合わないしむかつくから、マイナス120点。
「んだよ。お前勉強と髪切るしか脳がないんだから。少しは還元しろよな」
ええ、そうですよ。この見た目で暗い幼少時代を送らないために頑張りましたよ。
運動もだめ、可愛くもない、面白くもない。となれば、勉強できる! くらいのことがないとね。まあ,結局なんでもばしばし言うこの性格が吉とでたのか、比較的明るい幼少時代だったわ。高校から髪を切る楽しみも覚えたし。
しかし。しかし、だ。
「なんでよりにもよってあんたなんかに還元しなきゃいけないのかっつうの」
「わーかわいくねえ。内面までブスだと嫌われっぞ」
げしっと足を蹴ってやった。
うっせ。私はこのキャラで生きてくんだい。
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