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「いってーな! お前少しは幼なじみを大切にしろよ!!」
大切にしてますとも。私なりに。
だから、小学校中学年なんていう女子のバリバリ思春期な微妙な時期だっていうのに、隣の家に屋根伝いに侵入してきた不審者を快く迎えてやって、トイレにいってやったじゃないか。
今やれば痴漢で返り討ちだがな。
「ちょっとは自分でやればいいじゃん。それか他の人に頼みなよ。っていうか、そうしろ。今すぐそうしろ」
こんなにぐずっている幼馴染にわざわざ頼むことはない。
早く気づけば良かった! 私の癒しマイタイム。昼休みが、刻々と減っていくじゃないか。
「えー。俺お前のノートで勉強したとこだけできるんだよな」
いや、そんな魔法のノートではござらん。
「訳なんてみんな一緒でしょ。ほら、いったいった」
しっしっと手を振ると、仏頂面のまんま奴は去って行った。
舌打ちしたって怖くないもんね!
あんたに「ぶた」って言われる度につけられてく乙女の心の傷に比べれば、屁のカッパ。じくじく痛んでもう修復不可能ってのよ。
机に突っ伏すとひんやりとした木の感触が私を慰めてくれる。
ああ、癒し。私の憩いの机ちゃん。
隅に小さく「アキ」と掘ってある。
その机の傷を小さくなでる。
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