名も無き者が渡り行く

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名も無き者が渡り行く

時の流れに逆らえるなら、 もっと 自分で、いられるでしょう。 毎日の中、時間の制限に 1分1秒が 忙しない。四六時中 時間がない様 鼓動が乱れて脈を打つから 体と心が、別々なものになる。 時の流れを 泳げたなら。 私は、冷えた川の中を 胸びれだけで 泳ぎ進みたい。 さめた眼差しは、意味を持たない。 名も無き者は、忘れ去られる。 陽だまりは、やがて 灼熱の固まりになり 焼け焦げ、肌が赤く腫れ上がる。 冷えた川の水の中で、名も無き者が 渡り行く。胸びれを動かして 自分の 勢いだけをたよりにして、 そして 胸びれそれは、私の鼓動。 時の川を自分の命の時間と一緒に泳ぐ 長いか?短いか?それは分からない。 それは・・・分からない・・・ 名も無き者が渡り行く。 頭が痛むほどの不器用さで。
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