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◇
翌日。
13時を少し回ったところで部屋のインターフォンが鳴った。
出てみると、当然ながらそこには麻倉深咲の姿があった。
「……悪いな、わざわざ来てもらって……」
「いえ……お兄さんの頼みなら聞かないわけにはいけませんから」
そう言って力なく微笑みを見せると、靴を脱ぎ、部屋に上がる。
「で、今日は私に何の用なんです?」
「……実は昨日、部屋で妙なものを見つけてな。それで、お前なら何か知ってるかなって思ってさ」
「……妙なもの?」
深咲は俺の言葉に首を傾げる。
どうやら、彼女に心当たりはないらしい。
俺は深咲をクローゼットへ案内する。
「ここを見てくれないか?」
そう言って、俺は深咲に判りやすいように例の御札が貼られたような跡を指さした。
「……これって、もしかして……?」
やはり、深咲も俺と同じ答えに行き着いたらしい。
多分、隣の部屋と以前の体験のせいだとも言えなくないが。
いずれにしろ、深咲の顔色が青くなっているのは容易に理解出来た。
「かわいい、ですよね~」
呆然と痕跡を見つめる深咲の横顔を眺めていると不意にそう訊かれ、
思わず「そうだな」と答えてしまった。
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