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「お、お兄さん……?」
多分予想すらしてなかったであろう俺の言葉に深咲は、信じらないと言わんばかりの驚いた表情を見せる。
「深咲、気にすんな!誘導尋問だっ!」
「き、気にしないなんてムリですよ~……だって、お兄さんが私のことかわいいって……」
とてもさっきま青ざめた表情をしていたヤツとは思えないほど、彼女の表情は赤くなっていた。
ったく、青くなったり赤くなったり忙しいな……信号機かよ、お前は……。
「気のせいだ。そもそもお前がヘンなこと言うから……」
「いえ、私……何も言ってませんよ?」
「はあっ?!じゃあ……さっきの声って……?」
明らかに第三者と思われる声の存在があると言う事実に俺と美咲は顔を引きつらせ、お互いの顔を見合わせた。
「はい……あたしです」
声のする方に即座に振り向く俺と深咲。
「誰?!」
「誰だ、お前はっ?!」
「あ、見えてます?……やっほー」
そんなお茶目なことを言いながら、その少女は俺と深咲に向けて、両手を振っていた。
彼女の言うとおり確かに見えはしていた。
だが、あくまで見えているだけでその身体は半透明であり、背にした壁の模様がハッキリと見えていた。
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