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「おお、バストイレの他に幽霊が……そいつはお得だ――って、なるかぁーっ!!」
彼女が躊躇いもなくさらっと言うもんだから、思わずノリツッコミをしてしまった。
「ですよね~……」
「ですよね~じゃねーよ!幽霊付いてくるってなんだよ!明らかなマイナス要素だろーがっ!」
俺のツッコミに彼女は苦笑いを浮かべる。
「仕方ないじゃないですか~……だってあの部屋ふつーに幽霊憑いてるし」
「憑いてるってそっちかよ!部屋に憑いてるってなんだよ?!」
彼女は俺の問いに深くため息をつくと、腹を括ったと言わんばかりにキッと俺を睨みつけ、
「事故物件ですよ。その部屋で殺人事件が起こったんです……それからずっとその部屋に出るんですよ、幽霊が」
「マジかよ……」
事故物件。不動産取引や賃貸契約の対象となる土地や建物、アパート、マンションと言った物件で、何らかの原因で前居住者が死亡した経歴のあるものことを言う。
話には聞いていたが、まさか自分自身に降りかかってくるとは思ってもみなかった。
そこである疑念が浮かぶ。
さっきの女の子はこの部屋に住んでいた前の居住者じゃないのか?
前の居住者は何らかの事件に巻き込まれ、殺害されたが突然の出来事で自分が死んだことさえ気づかず、未だにあの部屋で生活してるつもりなんじゃないのか?
だとしたら――だとしたらだぞ!ここって、もしかして事故物件なんじゃないの?!
その答えに行き着いた瞬間、一瞬で背筋が凍りついた。
俺は自分の中に生まれた恐ろしい答えが真実であるか確認する為に彼女に訊ねる。
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