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「深咲……逃げるぞっ!」
「えっ……な、なんで?」
どうやら彼女には目の前に迫るあの化物が見えてないらしい。
そもそも見える見えないとかなんなんだよ!ピーキーな不可視モード付けやがって、どうせなら全員見えないようにしとけって!
内心、化物への恨み言を呟く。
「多分、ここで死んだヤツだ。なんか〇椰子みたいな状態でこっちに迫ってくる。早く逃げないとヤバそうだ」
慌てる俺の様子を見て、彼女もまたヤバいと認識してくれたようで、
「わ、わかりましたっ!」
二人でやたら重いドアを外側から引っ張って、ドアを閉めた。
ドアが締まった途端、ドアに何かが衝突したような激しい音が響いた。
「なっ……な、なんですか、今の化け物は?!」
ドアが閉まってからしばらくして、落ち着きを取り戻した彼女が口を開いた。
「俺が知るか……って言うか管理してるお前の方がここに詳しいだろーが」
「ヤバいですよ!もう完全に〇怨じゃないですか?中に居たの、間違いなくアレですよね?白いの居なかったけど、間違いなくあの人居ましたよね?!」
よほど怖かったのだろう。
彼女は俺の胸ぐらを掴み、大きな瞳に大粒の涙を浮かべ、必死に訴えてくる。
「気持ちはわかるけど……手、離してくんない?」
「あっ……ごめんなさいっ!」
俺に指摘されようやく彼女の手から解放された。
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